
全ての経験が実務に繋がる。
NPOを支えるクリエイター


- お名前
- POPO
- 職種
- フリーランスクリエイター
- 業界歴
- 27年
- 動物占い
- 黒ヒョウ
今回取材するのはフリーランスで活躍されているPOPOさん。NPO法人で週に1回、事務や広報の業務を担当している。また、他の団体や企業とも連携し、Webサイトやチラシなどの制作を手がけ、必要に応じてイラスト制作も行いながら、それぞれの団体に合わせたデザインを提供しているそうだ。今回は業界歴20年を超えるPOPOさんにこれまでの経歴やNPO法人での制作についてなど、様々なことを聞いてみた。
これまでの経歴
前述のように幅広い制作物に携わっているPOPOさん。まずはこれまでどのような経歴を歩んできたのか聞いてみた。
制作との出会いは20代の頃でした。研究室で働いていた際に、Macやさまざまなソフトに夢中になり、趣味でイラストを描いていました。当時はまだWebがあまり普及しておらず、研究者の方々が研究結果を手書きで記録していたため、それをサポートする形で資料をパソコンで作成するようになりました。次第にWebが普及し始めてきて、学会のサイトなどを独学で作るようになりました。
20代後半の時に知人がweb制作会社を立ち上げ、そのお手伝いをすることになったんです。それをきっかけに自分で仕事を獲得するようになり、副業を始めるようになりました。副業を始めてからは研究室・副業・制作会社の手伝いといそがしい日々を過ごし、休日はほぼなかったです。
インタビューの中でPOPOさんは「新しいものが好き」「なんでもやってみたい」と話されていた。知らないことはやってみるという心構えで様々なツールを使って制作を進めてきたそうだ。そうしているうちにあまり経験のないツールでも「こんなことできるんじゃないか?」という予想がついたり、各ツールの似たような機能がわかるようになり、制作をスムーズに進めることができるようになったと言う。
休みがなく、働き詰めの20代だったがその経験も今に活きているようだ。
経歴がすごく興味深いです
その後、出産を機に一度制作から離れることになりました。しかし、育児が落ち着いたタイミングで社会とのつながりを持ちたいと思い、NPOのボランティア活動に参加しました。そこで現在関わっているNPOと出会うことになります。ボランティア活動の中で偶然チラシやロゴを作成する機会があり、それがきっかけで他の団体からも仕事を依頼されるようになり、現在の仕事へとつながっていきました。
NPOでのボランティアを通して社会貢献できるという実感を持ち、また制作に携わることに。「当時ボランティアに救われたんです」と話しているPOPOさんの表情はとても朗らかだった。救われた経験があるからこそ、今はNPOの皆さんに恩返しができるように努力していると話していた。
社会貢献を通して制作にも携わられているなんて素敵です!
CFでの学習
ところで、ここまでのお話しを聞くとスクールで学ぶ必要があったのか気になるところだ。CFに入学したのはなぜだったのだろうか。
CFには2022年4月に入学しました。Wed制作業界に復帰した時、自分が制作していた頃とはいろいろなことが変わっていました、一度ちゃんと業界の流れを知りたいと思ったことが決め手です。
それまでは自分の持っているスキルで最大限いいものを作ることができるように努力していましたが、正しいと確信を持って制作できるようになりたいと思ったんです。実際受講してみて制作の流れやどんなものが主流なのか改めて知ることができました。
Web制作の業界では情報や流行の移り変わりが非常に早い。業界の第一線で活躍している先生方から、実務を意識したスキルを教えてもらえるところはCFの強みと言えるだろう。
常に成長を目指される姿勢、すばらしいです!
CFには通常のカリキュラムの他にも追加講座のデザインジムやコーディングジムがある。そのどちらも受講されたPOPOさんは、全ての経験が実務につながっているという。CFでの学習を振り返って、特に記憶に残っていることを聞かせてくださった。
チーム制作ではグラフィックデザインの経験者の方と2人のチームで、私はディレクター兼コーダーとして参加しました。その中で特にターゲットやカスタマージャーニーに関する部分を突き詰めて考えたんです。これが予想以上に面白くて、分析して突き詰める大切さを知りました。今でもWebデザインは情報設計の部分をかなり大切にしています。
情報設計は意味のあるサイトを作るための要ですね!

デザインジムやコーディングジムもかなり役に立ちました。
デザインジムではとにかくたくさん制作物を作り、それに対してプロからフィードバックをもらえます。情報の流れを意識することや余白の取り方など、丁寧に作り込む姿勢はここで学びました。
コーディングジムではWordPressの内部を知ることができて、教材の動画やテキストは今も見返して参照しています。フリーランスとして働いていると先輩がいないので、業界の先輩とつながることができるのも良い点だと思います。
デザイン・コーディングともに上達するためには悩みながら実際に手を動かし、プロからアドバイスをもらい、ブラッシュを重ねていくことが必須だ。その中で信頼できる先輩がいるのはとても心強いのではないか。POPOさんは今でも実務で行き詰まることがあればデザインジムのメンターのみなさんにアドバイスを求めるという。そのような素直な姿勢もPOPOさんがフリーランスで活動し続けられている理由の一つだろう。
先輩と繋がれるのは、本当に強いです。GYMの受講は私もおすすめです。


NPOで働くことのやりがいと難しさ
Web制作を学び、就職した多くの人は制作会社や一般企業に入ることが多いだろう。しかし、Web制作のスキルを活かせる場はそれだけではない。POPOさんは、少し特殊な環境であるNPO法人で制作活動をされているが、そこでのやりがいや難しさにはどのようなものがあるのだろうか?
NPOの職員は日々社会課題の解決に懸命に取り組んでいます。たとえ専門外の分野であっても、自分のスキルを活かして関わり、役に立てたと感じられる瞬間に、大きなやりがいを感じます。また、NPO関連の仕事では、制作を通じて自分の知らなかった社会課題に気づくことも多いです。こういう点はNPOならではじゃないかなと思っています。
社会には様々な課題があるが、それを実感する機会はどれくらいあるだろうか?身近なところで困っていたり、苦しんでいる人がいても気づけないことのほうが多いのではないだろうか。様々なNPO団体と関わるなかで社会課題を知り、それに関わることができる仕事はとても素敵で、かっこいい。
様々な業界でWebスキルを活かせる場があるんですね!
とても有意義な仕事だが、NPO特有の難しさもあるという。
情報発信の仕方や、優先順位の付け方には難しさを感じます。
たとえば、団体の取り組みだけでなく、空気感も含めて正確に情報を伝えるために日々模索しています。同じ内容を発信しても、メディアによっては場違いと受け取られることもありますよね。能動的に情報を探しに来るサイトと、受動的に情報が流れてくるSNSとでは、情報の受け取られ方が異なるかもしれません。発信した情報で誰かを傷つけてしまう可能性もあるため、常に慎重に考えています。
また、NPOにとって寄付は欠かせません。そのためには、まず団体や取り組みを知ってもらい、共感者を増やし、寄付へとつなげる流れを意識することが重要です。そのため、情報発信の順番には細心の注意を払っています。また、興味を持ってくれた人を遠ざけるような発信をしないことにも気を配っています。
NPOで発信する情報はデリケートなものが多い。だからこそ、本当に届けたい人に正しく情報を伝えるためにはどんな順番で、どんな表現で伝えることが最適なのか、日々悩みながら発信しているそうだ。
限られた枠の中でいかに正確に伝えるか、難しそうです…!

POPOさんが考える、仕事を成功させる人
これはどこの職場でも同じかとは思いますが、基本的な納期が守れることやしっかり連絡を取れること、報告・連絡・相談が当たり前にできることはやはり大切なことだと感じます。あとは自分ができること・できないことをよく理解していることも大切ではないでしょうか。スキルがあるに越したことはないですが、コミュニケーションが取れることのほうが重要だと思います。
フリーランスという点でいうと、常に仕事を受けられる状態で準備を整えておくことが大切です。また、スキル的に難しい課題に直面した場合でも、目標達成のために自分の持つスキルを活かして別の手法を提案する姿勢が求められると思います。
なるほど。たしかに常に仕事を受けられる状態というのは大切だ。チャンスはいつやってくるかわからない。いざ舞い込んできた時に尻込みしていては遅い。
POPOさんは新しいスキルをキャッチアップするために積極的にセミナーに参加したり、書籍を買って勉強されているという。常にスキルアップを続け、準備を整えることを体現されている。
最低限のスキルは要るけど、やはりスキル<コミュニケーションですね
POPOさんは独学でWeb制作を始め、日々学習を続けてきた。現在ではWebだけでなく、さまざまな制作物にも携わっている。印象的なのは、何度も口にしていた「どんな経験も今の仕事に繋がっている」という言葉だ。大変だった20代の経験、CFでの学び、そしてその後の実務での経験すべてが糧となり、仕事に結びついているという。学習中のみなさんや業務を始めたばかりのみなさんも、心が折れそうになる時があるかもしれないが、その経験は必ず後の自分にプラスになる。どんな経験も価値があると気づかされる話だった。
POPOさん、ありがとうございました!